Japanische Klassiker mit Furigana
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みちのうえでみたはなし
道の上で見た話
小川 未明
Lesen Sie 道の上で見た話 (みちのうえでみたはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.679 Zeichen · 8 Bildschirme
このとき、通りかかった人々は、たちどまって、上をむき、あれよ、あれよといってさわぎました。けれど、なかには、自分になんの関係もないできごとといわぬばかり、ふたたび見あげようともせず、さっさといくものもありました。こんなさいちゅうに、たぶんこのあたりをうろつく、浮浪児でしょう。
「おれが、ひろうぞ!」と、叫んで、二、三人往来の人をかきわけ、かけていきました。
風に、日がさをさらわれた、女の人は、顔を赤くして、とりかえしのつかぬことをしたと思ったのでしょう。いそいで、その方向へいきかけましたが、五、六歩もいくと、きゅうに思いとまって、もどりかけました。そして、店の前まできたので、
「そんなに、遠く飛んでは、いきませんよ。」といって、ぼくは女の人を力づけようとしました。
「いえ、だれかすぐにひろってしまいますでしょう。」と、彼女は答えて、もはや、あきらめたように、いってしまいました。
こう聞いたとき、ぼくは、なんということなく、悲しかったのでした。
なんで、女は、あきらめなければならぬかと思ったからです。自分のものでありながら、それを保証する道徳のなかったこと、こんな、よいわるいの分別がなくなるまで、社会がくずれたかという、なげきにほかありません。