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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちがうへいはちろう

違う平八郎

山本 周五郎

Lesen Sie 違う平八郎 (ちがうへいはちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.142 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「拙者は御旗本にて室橋辰右衛門と申す者だが、此たび新規お取立になったのは御貴殿でござるか」

「申後れました」

平八郎はいきなり声を掛けられたので、はっとしながら腰を跼めた。

「如何にも拙者はお庭廻りとしてお召出しに与った本多平八郎でござる」

「なに、本多なんと仰有る?」

「平八郎、本多平八郎でござる」

「やっ――?」

相手はやっと云って口と眼を大きく明けた。

「き、貴公が、貴公があの」

「否や、い、否や違います」

平八郎は慌てて手を振りながら、

「あれではござらぬ、あの豪傑の本多平八郎ではないので、違う方の本多平八郎でござる」

「あはあ……なる程」

相手はにやりとした。

「豪傑でない方の平八殿か、豪傑でない方とすると弱い方でござるな、ふむ、つまり弱い平八郎という訳か、――なる程、それでは伊勢の戦で空壕の中で草を被って震えていたというのは貴公だな」

「それには、実は、その、些か仔細があるので」

「面白い、その仔細を聞きたいな」

「然し、……だが、――いや、申しますまい」

「どうして云われぬ」

「申上げても分って頂けまいから」

心弱くも眼を伏せる平八郎を、相手は嘲るように見下して、