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Japanische Klassiker mit Furigana

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とおののきぶん

遠野の奇聞

泉 鏡花

Lesen Sie 遠野の奇聞 (とおののきぶん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.768 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

雑書にも多く記したれど、この書に選まれたるもののごとく、まさしく動き出づらん趣あるはほとんどなし。大抵は萱を分けて、ざわざわざわと出で来り、樵夫が驚いて逃げ帰るくらいのものなり。中には握飯を貰いて、ニタニタと打喜び、材木を負うて麓近くまで運び出すなどいうがあり。だらしのなき脊高にあらずや。そのかわり、遠野の里の彼のごとく、婦にこだわるものは余り多からず。折角の巨人、いたずらに、だだあ、がんまの娘を狙うて、鼻の下の長きことその脚のごとくならんとす。早地峰の高仙人、願くは木の葉の褌を緊一番せよ。

さりながらかかる太平楽を並ぶるも、山の手ながら東京に棲むおかげなり。

奥州……花巻より十余里の路上には、立場三ヶ所あり。その他はただ青き山と原野なり。人煙の稀少なること北海道石狩の平野よりも甚し。

と言われたる、遠野郷に、もし旅せんに、そこにありてなおこの言をなし得んか。この臆病もの覚束なきなり。北国にても加賀越中は怪談多く、山国ゆえ、中にも天狗の話は枚挙するに遑あらねど、何ゆえか山男につきて余り語らず、あるいは皆無にはあらずやと思う。ただ越前には間々あり。

近ごろある人に聞く、福井より三里山越にて、杉谷という村は、山もて囲まれたる湿地にて、菅の産地なり。