Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
私の祖母さんもやりますよ。」
「不思議ですね、それをするのは女だけですか?」
「ええ女だけです。それも、その家の系統があるのです。」
「若い女でもやるんですか?」
「やっぱり老人の方です。」
荻原は初めのおどおどしていた風がすっかり消えてしまった。ひとりで興に乗って来て話しつづける。その顔を見ると平常、底の底に押しこまれていた感情が一時にぱっと、上に出て来て、それに花を咲かせたようだ。
「私の家は、花巻から五里くらいもずっと山の奥ですが、A山と、B山と、C山と、三つの大きい山が周囲を取りまわしている広野です。国で一番いい時はやはり田植えごろですが。……その頃になると、私の家から、すこし隔ってB野というところに、閑古花が咲くのです。それを子供たちは大騒ぎをして採りに行きますがね。」
「閑古花って何です? 彼岸花のことですか、あの赤い花の咲く。」
「いいえ、それ熊谷草、敦盛草って言いましょう、あれです。」
「ほう、そうですか、それで?」私はもうすっかり話につり込まれてしまった。
「その頃、山の麓に行っていると、夜は寝られないほど、騒がしいですよ。いろんな鳥が一時に鳴き出すもので……それに私の国では昼間鳴く鳥は少ないのですから。