Japanische Klassiker mit Furigana
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いあいしゅう
遺愛集
島 秋人
Lesen Sie 遺愛集 (いあいしゅう) von 島 秋人 (しまあきと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.488 Zeichen · 102 Bildschirme
この手もて人を殺めし死囚われ同じ両手に今は花活く
しなふほど菖蒲の伸びて吹かれゐる獄の日向にひそみ安らふ
獄庭の樹々春の嵐に鳴れる夜波のしぶける故郷思ひぬ
獄塀ぎはの日向にふたつクローバの花咲きゐたり四月の六日
被害者の忌日の獄に仏華なく春雨降りて静かに昏れし
春雨の窓の灯を身にまとひ寂しき庭を看守歩みゆく
金網目より入り来し蜂は白百合の花粉を足にまとひて去りし
草花に切なきいのちあふるるを盗みつづけし子の頃せまり来
赤さびしかなあみ塀により添ひて野生と化せる菜の花みつむ
つつしみて受けむと思ふ人生の岐点とならむその判決を
雨の灯にかがやきゆるる獄庭の樹々は鮮かな若葉となれり
更けてよりはげしさ増して降る雨にうたるるものを眺め安らふ
極刑と決まる身となりわがまきしパンをついばむすずめ写生す
稚な日の憶ひ求めて紙飛行機幾度も拾ひ飛ばす死刑囚
上告の棄却通知を受けし夜の水銀灯の獄庭の寂けく
極刑と刑が決まりて蟻の這ふあとを指にてたどりゐたりき
上告もまかりならずしてしみじみといのちあるものみな親しかり
極刑と決まりしひと日さびしくて旧師の古きシャツまとひたり
被害者に詫びて死刑を受くべしと思ふに空は青く生きたし