Japanische Klassiker mit Furigana
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さとのはる、やまのはる
里の春、山の春
Lesen Sie 里の春、山の春 (さとのはる、やまのはる) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 745 Zeichen · 2 Bildschirme
野原にはもう春がきていました。
桜がさき、小鳥はないておりました。
けれども、山にはまだ春はきていませんでした。
山のいただきには、雪も白くのこっていました。
山のおくには、おやこの鹿がすんでいました。
坊やの鹿は、生まれてまだ一年にならないので、春とはどんなものか知りませんでした。
「お父ちゃん、春ってどんなもの。」
「春には花がさくのさ。」
「お母ちゃん、花ってどんなもの。」
「花ってね、きれいなものよ。」
「ふウん。」
けれど、坊やの鹿は、花をみたこともないので、花とはどんなものだか、春とはどんなものだか、よくわかりませんでした。
ある日、坊やの鹿はひとりで山のなかを遊んで歩きまわりました。
すると、とおくのほうから、
「ぼオん。」
とやわらかな音が聞こえてきました。
「なんの音だろう。」
するとまた、
「ぼオん。」
坊やの鹿は、ぴんと耳をたててきいていました。やがて、その音にさそわれて、どんどん山をおりてゆきました。
山の下には野原がひろがっていました。野原には桜の花がさいていて、よいかおりがしていました。
いっぽんの桜の木の根かたに、やさしいおじいさんがいました。