Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
Lesen Sie 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.456 Zeichen · 52 Bildschirme
と動かぬ身体をひッ立て、両手をついて詫びをいった。重吉はかえってすまながり、
「あの魚は、すこしも早くおぬしらに食わせようと思って落してやったものゆえ、食ってくれれば本望。一本二本はなんのことがあろうか。これこのとおり」
と七本の鰹を見せると、
「ありがたや、お鰹さま」
ともろともに手を合せて拝んだ。
さっそく片身を落し、お初穂を神棚に供え、煮るも焼くも待っていられず、片端から塩水に漬けてとりかかり、三人で四本の鰹をまたたく間に食いつくしてしまった。
魚の群にうちあたったのだとみえ、バケをおろすたびに魚が釣れる。夜も昼も魚ばかり食べているので日増しに元気になり、十日ほどすると、音七も半兵衛も甲板へ出て魚を釣るまでになった。ある日、半兵衛がいうには、
「さて、重吉ぬし、聞いてもらいたいことがある。天の恵みの雨水といい、日々の糧になる魚といい、いまでは不足ないほどに得られるようになったが、それについて思うのは、こういうお恵みにも得逢わず、餓鬼の苦しみをして死んだ十人の者たちは、よくよく神仏に憎まれた人々ででもあったのだろう。おぬしは陸の土に葬ってやらねばならぬなどといい、いまもってみなの亡骸を雑倉にとりおさめてあるが、この期になっても陸地に辿り着かぬのは、ああいうものを船に置いてあるので、その穢れで祟りを受けて