Japanische Klassiker mit Furigana
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のにこえなし
野に声なし
豊島 与志雄
Lesen Sie 野に声なし (のにこえなし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.460 Zeichen · 9 Bildschirme
である。
地震の衝撃を受けて以来、文壇には新らしい光が射すだろうとか、少くとも何等かの変化が起るだろうとか、そう云ったことを説く者が可なりあったし、説かないまでも胸に思ってる者が多かった。然し私の考える所に依れば、そんなことは無さそうな気がする。外的の第二義第三義的変化は多少あろうとも、新らしい材料とか新たな主張とかは多少現われようとも、本質的な変化は聊かも見られないだろう。
試みに正月に表われる作品を見れば分るだろう。見てから後でなければ断言出来ないけれども、恐らくは、地震前と大差ないに違いない。少くともそれらの作品の奥に映ってる作者の姿は、何等新たな心境を示してはいないだろう。
文壇に或る動きを起すには、文壇の内部に或る刺戟を与えなければいけない。外部からの刺戟は忽ちにして通り過ぎる。
地震の結果が如何に悲惨なものであったにせよ、文壇全体にとっては、それは一時的の外部的のものであった。文壇はまたすぐに以前の状態に立戻っている。
日本の政治界が地震前と同じ道筋を辿って、帝都復興を帝都復旧に萎縮させてしまったことは、別に驚くにも当らない。政治界の内部に、全体を動かすだけの刺戟がなかったからである。