Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やこ

野狐

田中 英光

Lesen Sie 野狐 (やこ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.615 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

私は昔のボート選手で六尺、二十貫。それでも一升飲めばいい気持になったのだが、そのうち、焼酎一升飲んでもケロリとしているので、酒と一緒に催眠剤を飲むようになる。また、そのほうが安上りというサモシイ気持もあったのだ。そのおかげで私は、桂子の肉体と催眠剤の中毒患者になった。そのどちらもが一日でもないと、禁断症状がおこり、私は口を利く気力さえない半死半生の病人のようになる。

そのままでは、私の健康も才能も、また疎開先の妻子もダメになると思って、私はやりきれない気持だった。そこで私は酔うと酒乱になる桂子と喧嘩する度に、それをよい機会と思い、妻子の田舎に逃げ帰るのだが、そこで、妻の表情のかたい、甲羅をかぶった無言の軽蔑に出あうと、死ぬほど桂子が恋しくなり、また彼女のもとに逃げ帰ってしまう。

また桂子が酔って見境がなくなり、遊びに来ていた他の男たちと夜の町にとびだしてゆくと、私も嫉妬を起して、他の男たちと夜の町にとびだし、よからぬ場所に泊り、娼婦と共に寝たこともあるが、そんな場合、私は桂子の肉体を思って、どうしても、その他の女に触れる気になれない。皮肉なことに少なくとも、結婚後は私のために貞操を守ってきたらしい妻に対し、私は少しも貞操を守りたくなかったのだが、私と一緒になる前、夜の天使同様だった桂子に、私は期せずして