Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
大雨が降る傘を買わねばならぬ。高げたを買わねばならぬといえば、もう雨が恐ろしいもののように思われる。同業者はもちろん仇敵だ。すべての商人はみな不親切に思われる。汽車の響き、電車の音、それも何となく自分をおびやかすように聞こえるのだ。平生懇意に交際しているあいだがらでも、向こうに迷惑をかけない限りの懇意で少しでも損をかけ、もしくは迷惑をさせたらば、その日から懇意な関係は絶えてしまう。けっきょく自分を離れないものは、世の中に妻と子とばかりである。
君はかならずいうだろう、「そりゃあまりに極端な考えだ、誇張がありすぎる」と。そういっても実際の感じだから誇張でも何でもない。不自由をしたことのない人には不自由な味はわからぬ。獄にはいった人でなければ獄中の心持ちはわからない。
言い延べも限りがある。とどこおった払いはいつかは払わねばならぬ。何のくふうもなく食い込んでおれば家をこわして炊くようなものだ。たちまち風雨のしのぎがつかなくなることは知れきっている。
くふうといって別に変わったくふうのありようもないから、友人から金を借りようと決心したのだ。金に困って友人から金を借りたというだけならば、もとより問題にはならない。