Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
それに僕が評価人たることは、知人某氏のためにも利益になるのであるから、勇を鼓して出かけて行った。
日の暮れ暮れに某氏の門前に臨んでみると、警察官が門におって人の出入を誰何している。門前には四十台ばかりの荷車に、それに相当する人夫がわやわや騒いでおった。刺を通じて家にはいると、三人警部と茶を飲んでおった主人は、目ざとく自分を認めた。僕がいうくやみの言葉などは耳にもはいらず。
「やァとんだご迷惑で……とうとうやっちゃったよアハハハハハ」
と事もなげに笑うのであったが、茶碗を持った手は震えておった。女子どもはどうしたか見えない。巡査十四、五人、屠殺人、消毒の人夫、かれこれ四十人ばかりの人たちが、すこぶるものなれた調子に、撲殺の準備中であった。牛の運動場には、石灰をおびただしくまいて、ほとんど雪夜のさまだ。
僕は主人の案内でひととおり牛の下見をする。むろん巡査がひとりついてくる。牛疫の牛というのは黒毛の牝牛赤白斑の乳牛である。見ると少しく沈欝したようすはしているが、これが恐るべき牛疫とは素人目には教えられなければわからぬくらいである。その余の三十余頭、少しも平生に変わらず、おのおの争うて餌をすすっている。