Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
磯辺に立って四方を見まわせば、いつでも自分は天地の中心になるのである。予ら四人はいま雲の八重垣の真洞の中に蛤をとっている。時の移るも知らずに興じつつ波に追われたり波を追ったりして、各小袋に蛤は満ちた。よろこび勇んで四人はとある漁船のかげに一休みしたのであるが、思わぬ空の変わりようにてにわかに雨となった。四人は蝙蝠傘二本をよすがに船底に小さくなってしばらく雨やどりをする。
ふたりの子どもを間にして予とお光さんはどうしても他人とはみえぬまで接近した。さすがにお光さんは平気でいられない風情である。予はことさらに空を眺めて困った雨ですなアなど平気をよそおう。
「あなたはほんとにおしあわせです」
お光さんはまず口を切った。
「なにしあわせなことがあるもんですか、五人も六人も子どもがあってみなさい、どうにもこうにも動きのとれるもんじゃないです。私はあなたは子がなくてしあわせだと思ってます」
予は打ち消そうとこういってみたけれど、お光さんの境遇に同情せぬことはできない。お光さんはじっとふたりの子どもを見つめるようすであったが、
「私は子どもさえあれば何がなくてもよいと思います。