Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
七十ばかりな主の翁は若き男女のために、自分がこの地を銃猟禁制地に許可を得し事柄や、池の歴史、さては鴨猟の事など話し聞かせた。その中には面白き話もあった。
「水鳥のたぐいにも操というものがあると見えまして、雌なり雄なりが一つとられますと、あとに残ったやもめ鳥でしょう、ほかの雌雄が組をなして楽しげに遊んでる中に、一つ淋しく片寄って哀れに鳴いてるのを見ることがあります。そういうことがおりおりありまして、あああれはつれあいをとられたのだなどいうことがすぐ分ります。感心なものでございます」
この話を聞いておとよも省作も涙の出でんばかりに感じたが、主が席を去るとおとよは堪りかね、省作と自分とのこの先に苦労の多かるべきをいい出でて嘆息する。お千代も省作に向って、
「省さんも御承知ではありましょうが、斎藤の一条から父はたいへんおとよさんを憎んで、いまだに充分お心が解けないもんですから、それはそれはおとよさんの苦労心配は一通りの事ではなかったのです。今だって父の機嫌がなおってはいないです。おとよさんもこんなに痩せっちゃったんですから、かわいそうで見ていられないから、うちと相談してね、今日の事をたくらんだんです。