Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
「なによ、それが淫奔事でなけりゃ、それでもえいさ。淫奔をしておって我儘をとおすのだから不埒なのだ」
「まだあんな事を言ってる、理屈をいう人に似合わず解らない老人だ。それだからあなたは子に不孝な人だというのだ。生きとし生けるもの子をかばわぬものはない、あなたにはわが子をかばうという料簡がないだなあ」
「そんな事はない」
「ないったって、現にやってるじゃねいか。わが子をよく見ようとはしないで、悪く悪くと見てる、いわば自分の片意地な料簡から、おとよさんを強いて淫奔ものにしてしまおうとしてる、何という意地の悪い人だろう」
この一言には老人も少しまいった。たしかに腹ではまいっても、なるほどそうかとは、口が腐ってもいえない人だ。よほど困ったと見え、独りで酒を注いで飲む手が少し顫えてる。まあ一つといって盃を薊にさす。
「そりゃ土屋さん、男女の関係ちは見ようによれば、みんな淫奔だよ、淫奔であるもないもただ精神の一つにあるだよ。表面の事なんかどうでもえいや、つまらん事から無造作に料簡を動かして、出たり引っこんだりするのか淫奔の親方だよ。それから見るとおとよさんなんかは、こうと思い定めた人のために、どこまでも情を立てて、親に棄てられてもとまで覚悟してるんだから、実際妻にも話して感心していますよ」