Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

「飛んでもない間違いだ」

老人は鼻汗いっぱいにかいた顔に苦しい笑いをもらした。おとよの母もここでちょっと口をあく。

「薊さん、ほんとに家のおとよは今ではかわいそうですよ。どうかおとッつさんの機嫌を直したいとばかりいってます」

「ねいおッ母さん、小手の家では必ず省作に身上を持たせるといってるそうだから、ここは早く綺麗に向うへくれるのさ。おッ母さんには御異存はないですな」

「はア、うちで承知さえすれば……」

「土屋さん、もう理屈は考えないで、私に任せてください。若夫婦はもちろんおッ母さんも御異存はない、すると老人一人で故障をいうことになる、そりゃよくない、さあ綺麗に任してください」

老人はまた一人で酒を注いで飲む、そうして薊に盃をさす。

「どうです土屋さん……省作に気に入らん所でもありますか。なかには悪口いうものもあるが、公平な目で見ればこの町村千何百戸のうちで省作ぐらい出来のえい若いものはねい。そりゃ才のあるのも学のあるのもあろうけれど、出来のえい気に入った若いものといえば、あの男なんぞは申し分がない。深田でもたいへん惜しがって、省作が出たあとで大分揉めたそうだ、親父はなんでもかでも面倒を見ておけというのであったそうな。