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Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

兄はただ、

「しようがないやつだなあ」

こう一言言ったきり、相変らず夜は縄をない昼は山刈りと土肥作りとに側目も振らない。弟を深田へ縁づけたということをたいへん見栄に思ってた嫂は、省作の無分別をひたすら口惜しがっている。

「省作、お前あの家にいないということがあるもんか」

何べん繰り返したかしれない。頃は旧暦の二月、田舎では年中最も手すきな時だ。問題に趣味のあるだけ省作の離縁話はいたるところに盛んである。某々がたいへんよい所へ片づいて非常に仕合せがよいというような噂は長くは続かぬ。しかしそれが破縁して気の毒だという場合には、多くの人がさも心持ちよさそうに面白く興がって噂するのである。あんまり仕合せがよいというので、小面憎く思った輩はいかにも面白い話ができたように話している。村の酒屋へ瞽女を留めた夜の話だ。瞽女の唄が済んでからは省作の噂で持ち切った。

「省作がいったいよくない。一方の女を思い切らないで、人の婿になるちは大の不徳義だ、不都合きわまった話だ。婿をとる側になってみたまえ、こんなことされて堪るもんか」

こう言うのは深田贔屓の連中だ。

「そうでないさ、省作だって婿になると決心した時には、おとよの事はあきらめていたにきまってるさ。