Japanische Klassiker mit Furigana
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のぎくのはか
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (のぎくのはか) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.539 Zeichen · 67 Bildschirme
十年許り前に親父が未だ達者な時分、隣村の親戚から頼まれて余儀なく買ったのだそうで、畑が八反と山林が二町ほどここにあるのである。この辺一体に高台は皆山林でその間の柵が畑になって居る。越石を持っていると云えば、世間体はよいけど、手間ばかり掛って割に合わないといつも母が言ってる畑だ。
三方林で囲まれ、南が開いて余所の畑とつづいている。北が高く南が低い傾斜になっている。母の推察通り、棉は末にはなっているが、風が吹いたら溢れるかと思うほど棉はえんでいる。点々として畑中白くなっているその棉に朝日がさしていると目ぶしい様に綺麗だ。
「まアよくえんでること。今日採りにきてよい事しました」
民子は女だけに、棉の綺麗にえんでるのを見て嬉しそうにそう云った。畑の真中ほどに桐の樹が二本繁っている。葉が落ちかけて居るけれど、十月の熱を凌ぐには十分だ。ここへあたりの黍殻を寄せて二人が陣どる。弁当包みを枝へ釣る。天気のよいのに山路を急いだから、汗ばんで熱い。着物を一枚ずつ脱ぐ。風を懐へ入れ足を展して休む。青ぎった空に翠の松林、百舌もどこかで鳴いている。声の響くほど山は静かなのだ。