Japanische Klassiker mit Furigana
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きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
Lesen Sie 金五十両 (きんごじゅうりょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.843 Zeichen · 23 Bildschirme
「そうすると世の中はまるきり騙りやごまかし許りでもないという訳ですね」
お滝の顔はにわかに引緊った。
「それじゃあお願いがあります、そのお金を頼まれた処まで届けて来て下さい」
「だってそんな、そんな、わかりきったことを」
「たぶんそうでしょう、仕事をしそこねた悪い人間が、危なくなって貴方にあずけたのかも知れません、けれどもそうではないかも知れない、なにか事情があって本当に貴方に頼んだのかも知れない、それをたしかめて来て下さいませんか」
「そうすれば、私の望みを協えて呉れるんだね」
「膳所から帰っていらしったら」
こう云ってお滝は金包を引寄せ、数を揃えてみたうえ、自分のふところから別に幾らか出し、それを紙にくるんでそこへ置いた。
「……これは少しですけれど往き帰りの旅費です、お待ちしていますよ」
昼飯を済ませるとすぐ、彼は膳所へ向けて柏屋を出た。
さっきの男に会ってはいけないと考え、宿はずれで駕籠に乗った。舞坂から荒井までの舟渡しも、なるべく笠で顔を隠すようにし、上るとすぐまた駕籠を雇って、三河のくに二川の宿へ着くと、まだ日が高かったが旅籠を取った。
お滝の頼みで来たものの、膳所へゆくのがむだだということは彼の頭から動かなかった。