Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
官名詐称を承知でやってるてえのには、そこになにか相当のわけがあるのさ。……葵嬢、逆上をしずめて、すこし考えなくちゃいけないねえ。うっかりしてると泣いても追っつかなことになりますぜ。……なにものか判らないやつにしがみついてるなんてテはないよ。(葵の手を握りながら)そりゃ、もちろん、いざってときには、及ばずながらあたしが加勢する。正直にぶちまけると、あたしああんたが好きだ。あんたのためならなんでもする。だがねえ、あとの騒動を待つまでもなく、いまのうちに別れちまうのがいちばんいいのだ。……あたしあ悪い事あ言わない。別れるならいまなんですぜ。ねえ、葵嬢、思いきって、すっぱりと……」
カーテンの隙間から、ハナが顔をのぞかせた。急に険しい顔つきになって、裾をひるがえしながらつかつかとはいってくると、懐手のままで葵のまえへ立ちはだかって怒鳴った。
「オイ、ふざけるな」
葵はあっけにとられてその顔を見あげた。
「なんだ、その面あ。……とぼけると、なぐるぜ。知ってもいようが、ここは源氏宿だ。裾を売るなら割前を出せ。無代で転ばれてたまるものか。てめえのような……」
辛抱しきれずに口をきった。