Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme

Aozora Bunko

三人のルンペンがその上に乗って針金でこしらえた四手網のようなもので堀の底を浚っていた。

岸には大きな角材が山のように積んであって、その高いてっぺんに乾と西貝が腰をかけていた。西貝は、また新しい煙草に火をつけると、ふてくさったようすで、煙を空へふきあげながら、

「……人間万事金の世の中、さ。義理も人情もあるものか、金につくのが当世なんだ。なあ、そうだろう、乾老……」

すこし酔っているらしかった。乾はキラキラ眼を光らせて熱心に堀のほうを眺めながら、うるさそうに、こたえた。

「まあ、そうだな」

西貝は舌なめずりをして、

「気のねえ返事をするなよ。……ときに乾老、この堀から久我のぬいぐるみがあがってきたら、いくら出す。たとえ二十日、ひと月でも、いっしょに飲み分けた友人を売るんだ。無代じゃごめんだぜ」

乾が、むっつりとこたえた。

「もし、あがったら十両やる」

西貝は下卑っぽく、ポンと手を打って、

「まけた。……三十両と言いてえところだが、もともとウントネタだ。いさぎよくまけっちまえ。ひとの命を十両で売ったと思えば寝ざめがわるいが、大義親を滅す、さ。一旦志をたてて、日金貸しとひっ組んだ以上は、この位の覚悟はいるだろうさ。