Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
(乾のほうへふりかえると)おい、おい、そんなに堀のほうばかり見てるな。すこし、こっちを向け。……(あたりを見まわして)まるでこりゃ生世話物だな。……上手はおあつらえむきの葦原、下手は土手場で木場につづくこころ、か……。木魚がはいって、合方が禅のつとめとくれあ、こりゃあ本イキだ。四手網にからんであがってくるのは血染の衣裳……。そういえば、だいぶ暮れてきたな。……おい、乾、そんな凄い面をするな。だまっていねえで、なんとか言え。……貴公もようやく念願を達するんだ。すこしはしゃげよ、おい!」
乾は背中を丸くして煙草を吸いつけながら、
「念願だか、念仏だかわかりゃしませんよ。そんなものがあがってきたらお慰みさ」
「出ねえと知って無駄骨を折るいんちきもないもんだ。出ねえと知って……」
「はじめっから、とんちきを承知でやってる仕事だ。……妄執てなあこのことですよ。こいつが晴れないと浮かばれないんだ。……(ジロリと西貝を見ると)あんたにも多少の怨がかかってるんですぜ」
と、いった。西貝はピクピクと頬をひきつらせて、うつむいてしまった。しばらくの後、顔をあげると、
「乾老、おれは自白する」