Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
ちょうど……その頃店へ現れた新参の葵という女に、どうでも身代りをたのむつもりで、〈通知〉の電話にも念をいれ、現場へ落しておくつもりで、そいつの釦をひとつむしりとる。……さて、その晩の八時頃、あたしが桃割れの鬘をかぶり、十六七の小娘に化けて、蛤橋の袂をうろついていると、案の定、古田という馬鹿がひっかかった。それをとりまいて〈那覇〉へ行く。ボーイが帰り仕度をしかけるのを見届けて〈那覇〉を出る。門前仲町で古田とわかれ、〈金城〉の二階へ駆けあがると、乾君が待っていて、こんどは二十二三、断髪、極彩色のモダン・ガールに仕立てあげる。なるたけ葵に似るように、継足をして長いソワレを着、乙にすました顔をしてまたぞろ〈那覇〉へとってかえす。見ると、ボーイがまだいるから、こいつは失敗ったと思い、なるたけ顔を見られないようにしているうち間もなくボーイが出ていった。絲満が二階からおりてきて番台に坐る。こいつに色っぽくからんでゆくと、たちまち薬がきいておおデレデレの目なし鯛。おさえつけておいて無闇にのませる。そうしてるうちにどこの人足かしらないがひどく哥兄面をしたのがはいって来たからうまい工合だと、あとはそいつにまかせ、帰るふりをして横手へまわり、柳の幹をつたって窓からはいり、戸棚の中にかくれて待っている。