Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
……僕は上海語も北京語も台湾語も話せるんですが、どこかの新聞社へもぐりこめないものでしょうか」
西貝はコップで盛んに呷りながら、無責任な調子で、
「いいだろう、なんとかなるだろうさ。ま、飲みたまえ。……(そう言って、久我のコップに、またなみなみと酌ぎながら)それでなにか書いたことがあるの、君は」
「これでも、むかしは詩をつくったことがあるんです。おちかづきのしるしに一冊献上して、大いに悩ませるつもりです。覚悟していて下さい」
西貝は酒と暑気で真っ赤になった顔を、ぶるん、と、なでながら、上機嫌に笑いだした。
「愉快なやつだな、君は。……小生のほうは、これで坊主の子さ、本来は坊主になるはずだったんだが、小生のような、俗気のない高潔な人間は、あの商売に向かないんだよ。そこで……、大学を出ると、志を立てて新劇俳優になった。そもそもの最初は……(と、いいかけて入口のほうを見ると、急に椅子の上で腰を浮かせて)お、那須がきた! ……あいつ、またなにか掴んできたぞ。……すこし想像力を要する事件になると、警察なんてものは手も足も出ないんだからな。新聞社の若い連中のほうがずっとましなんだ。