Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme

Aozora Bunko

……感謝する……君、君。まったく感謝する。(立って行って、若い男の首を抱きながら)オイ、……ときに、何か飲め……」

若い男は、待ちかねていたように喉をならしながら、

「え。……じゃ、ビールと貝巻き、を」

「よしきた。……オーイ、ビールと貝巻きだ。束にして持って来いよ」

「こっちは日本盛だ。(と、もうだいぶろれつが廻らなくなった西貝が、だみ声をはりあげた)……オイ、久我千秋……久我千! おめえは高粱酒なんて、藁からとった酒ばかり飲んでいたんだろうが、わが日本の米の酒をのんで見ろ。……ぐっと一杯のんでみろ。……やい、那須一……那須一……、ここにいるこの若いのは、こんな風に化けているが、もとをただせば、タイヤール族なんだぞ。霧社の頭目だぞ。わかったか。那須、飲め……やい、駆出しの名探偵……」

店のなかは、がんがんするような、やかましさだった。だれも相手のいうことなんかきいていない。めいめい自分勝手に、出放題なことを、大声でわめきちらしていた。

二人連れの男が、戸をあけはなしたまま出ていった。そこから、黎明のほの白いひかりと、すずしい朝風がはいってきた。三人はもうものを言わなかった。