Japanische Klassiker mit Furigana
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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 金色の死 (こんじきのし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.997 Zeichen · 46 Bildschirme
唯纔に岡村君が、或る方面に於いて多少私に類似し、若しくは凌駕して居るだけでした。彼は私と同い年にも拘らず、一つか二つ年下に見える小柄な品のいゝ美少年でした。彼の家には巨万の富があり、彼の両親は早く此の世を去って、兄弟のない彼は伯父の監督の下に養育されて居たのです。当時世間の噂に依ると、将来彼が相続す可き岡村家の遺産と云うものは、恐ろしい多額なもので、諸種の株券、鉱山、山林、宅地などを合算すれば三井岩崎の半分ぐらいは確にあるとの評判でした。ですから自分の家の「富」の程度を比べたなら、私は到底彼の足許にも及ばない訳なのです。私はそれを悲しいと思いました。
岡村君の服装は、役者の子供のようにぞろ/\した私の着物と反対に、いつも活溌な洋服姿でした。半ずぼんに長い靴下を着けて、さも柔かそうな半靴を穿き、頭にはキッと海軍帽を被って居ます。その頃の洋服は今よりも遥に珍らしがられたものですから、彼の服装は私のよりも人目を惹き、余計羨望の的となりました。
頭脳の方も、岡村君は決して私に劣っては居ませんでした。けれども私のように凡ての学課を得意とし、凡ての学問を平等に愛する事は出来ませんでした。