Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
ほんの散歩の今の当座の思い付きであるのか、それとも、いくらか考えでもした末の言葉か。
「そりゃ、そうに違いありませんけれど、やっぱりたかが金魚ですからね」
すると真佐子は漂渺とした顔付きの中で特に煙る瞳を黒く強調させて云った。
「あなたは金魚屋さんの息子さんの癖に、ほんとに金魚の値打ちをご承知ないのよ。金魚のために人間が生き死にした例がいくつもあるのよ」
真佐子は父から聴いた話だといって話し出した。
その話は、金魚屋に育った復一の方が、おぼろげに話す真佐子よりむしろ詳しく知っていたのであるが、真佐子から云われてみて、かえって価値的に復一の認識に反覆されるのであった。事実はざっとこうなのである。
明治二十七八年の日清戦役後の前後から日本の金魚の観賞熱はとみに旺盛となった。専門家の側では、この機に乗じて金魚商の組合を設けたり、アメリカへ輸出を試みたりした。進歩的の金魚商は特に異種の交媒による珍奇な新魚を得て観賞需要の拡張を図ろうとした。都下砂村の有名な金魚飼育商の秋山が蘭鋳からその雄々しい頭の肉瘤を採り、琉金のような体容の円美と房々とした尾を採って、頭尾二つとも完美な新種を得ようとする、ほとんど奇蹟にも等しい努力を始めて陶冶に陶冶を重ね、八ヶ年の努力の後、ようやく目的のものを得られたという。