Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぽうさいき
金鳳釵記
田中 貢太郎
Lesen Sie 金鳳釵記 (きんぽうさいき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.167 Zeichen · 13 Bildschirme
慶娘の声は一層大きくなった。
「そんな、そんな大きな声をされては困ります」
「それが困るなら、わたしと彼方へ参りましょう、お厭ならこれから帰って、あなたが、わたしを連れ出したと、お父さんに言いつけますわ」
興哥は女がなすがままになるより他に為方がなかった。彼は女の詞のままに次の室へ往った。
慶娘はその晩から夜になるときて朝早く帰って往った。その間に一ヶ月半位の時間が経った。
ある夜、平生のように興哥の許へ忍んできた慶娘が囁いた。
「今日までは、何人にも知れずに済みましたが、このさき、どんなことで露われるか判りません、もしそんなことになると、お父さんはああいったような厳格な方だから、どんなに怒るか判りません、私は覚悟をきめておりますから、引き分けられて、一室に監禁せられても諦めますが、あなたの御身分にかかわりますから、二人でどこかへ往って、人の目に著かない処で、静かに暮そうじゃありませんか」
「そうです、私もそう思っていたのですが、これという知己の者がなくて困っております、ただ私の家にもと使っていた金栄という男が、鎮江で百姓をしているということを父から聞いてますが、それは義理がたい男だそうですから、それでもたよって往ってみようじゃありませんか」