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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

「願うなら、何か尋常な、分相応のことを願いなさるがいい。くれぐれも、滅茶を願うてはなりませぬぞ。」

「お大名になりたいなどと――。」

親子三人は、声を合わせて笑ったが、久住は、苦渋な顔で、自在鉤の鉄瓶から、徳利を掴み出して、じぶんで注いだ。

明朝早く出発して、豊後への帰国の途につく――そういって、大小をうしろ気味に差した久住は、いつもよりすこし早めに、風に抗らってかえって行った。

送り出して、三人が炉ばたへ帰ると、

「父!」庄太郎が、にやにやして、「いいものが手に入ったぜ。さあ、これからおいらの家は、金持ちになる。おいらなんか、お絹ぐるみで、あっはっはっは――。」

大の字に引っくり返って、爆笑った。

「竜手様さまと来らあ! 竜の手だとよ、うふっ、利いた風なことを言っても、田舎ざむれえなんて、下らねえ物を持ち廻りやがって白痴なもんだなあ。」

惣平次は、懐中の竜手さまを取り出して、しげしげと見てみたが、

「こうっ、と。おいらは、何を願うべえかな。」

ふざけ半分の、わざと真面目な顔で、おこうを見た。

庄太郎が、代って、

「百両!――父、百両の現金を祈りねえ。」

惣平次は、照れたように微笑って、その、竜の手という、汚ない乾物のようなものを、右手に高くさし上げた。