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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

が、すぐに止んで、藤吉の見ているまえで、おこうの小さなからだが、すうっと伸びて起った。

「手じゃ!」人間の声らしくない声なのだ。「竜の手じゃ! ほれ、ほれ、竜手様――。」

藤吉よりも、惣平次が、慄然としたらしかった。

「どこに、どこに竜手さまが――おこう、どうした。」

炉を廻って、老夫の前へ進んで、

「貸して下さいよ、竜手様を。」おこうは、もう平静にかえっていた。「棄てやしますまいね。」

「押入れの奥に、投げ込んである。なぜだ。どうするんだ。」

泣き笑いが、おこうの全身を走り過ぎると、ふっと彼女は、不自然な、真面目な顔だった。

「思いついたことが、あるんですよ。なぜ早く、気がつかなかったろう――お前さんも、ぼんやりしてるじゃないか。嫌だよ、ちょいと!」

急に、若やいだ態度で、おこうは、娘のように、甘えた手を振り上げて、打つ真似をした。ぎょっとして、惣平次が、一歩退った。

「何を、なにを思いついたと――。」

「あれ、もう二つの願いさ。三つ叶えてもらえるんだろう? あと二つ残ってるじゃあないか。」

「竜手様のことか。馬鹿な! 止せ! あの一つで、おれは、おれは――もうたくさんだ。