Japanische Klassiker mit Furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.319 Zeichen · 29 Bildschirme
平兵衛はもう驚かなかった。当然のことのようにしか思えなかった。新しいおりんの命ずるがままに、古いおりんを引き上げて仕事場に運ぶことすら、彼はかえって異様な歓喜を感じただけであった。おりんも手伝った。二人は、おりんの屍骸の臀部から少量の肉を切り取って明日の捏ねに混ぜることにした。自分自身の一部を手に下げておりんはほほほと笑った。燐薬の作用で、一週りを経ている死人がまるで生きているように新鮮だったことなぞも、平兵衛は頭から気に留めなかったが、庭の隅を掘って屍の残部を埋めるだけの用心は忘れなかった。
翌日の蒲鉾には初めて磯屋の持味が出た。平兵衛自身一切れ試食して何年になく晴々とした。その日も夜とともにおりんが来た。毎晩おりんはどこからともなくやって来た。来るたびに近所の酉年生れの女の名を報した。酉年の女が頻繁に姿を隠し出したのはそのころからであった。浚って来た女を、平兵衛は井戸へ入れて殺し、燐薬の生気の中に漬けておいては酉の日を待っておりんと二人で料って、臀肉を蒲鉾へ入れいれしていた。古井戸の底には、いつも一人や二人の若い女の屍体が転がっていないことはなかった。