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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.760 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「えっ。」

喜兵衛は顔の色を変えた。

「いやさ。」と藤吉は微笑した。

「旦那の喪え後は、いわばお前さんがこの家の元締め、で、お前さんだけあ、手を下ろす前に耳に入れておきてえんだが、繩付きどころの騒ぎじゃねえぜ。知ってのとおり、喜兵衛さん、主殺しと言やあ、引廻しの上、落ち着く先はおきまりの、差しずめ千住か小塚ッ原――。」

「あっ!」

と喜兵衛は大声を揚げた。もう白々と明るくなった中庭の隅に、煙りのように黒い影が動いたのだった。

「あれですかい。」

と藤吉は笑った。

「今の脅し文句も、じつは、あのお方にお聞かせ申そうの魂胆だったのさ。」

庭の影は這うように生垣へ近づいた。

「おい、仙どん。」

藤吉は呼びかけた。

「お前そこにいたのか。」

猿のような鳴声と共に、ひらりと仙太郎は庭隅から路地へ飛び出した。

「野郎、待てっ。」

跣足のまま藤吉は庭の青苔を踏んだ。

「親分。」

と、葬式彦兵衛が縁側に立っていた。

「吉野屋へ行って来やしたよ。」

「いたか。」

垣根越しに仙太郎の後を眼で追いながら、こう藤吉はどなるように訊いた。

「清の奴め青い面して震えていやがったが、浅草橋の郡代前へ引っ立てて、番屋へ預けて参りやした。