Japanische Klassiker mit Furigana
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はりのきのいけにえ
針の木のいけにえ
石川 欣一
Lesen Sie 針の木のいけにえ (はりのきのいけにえ) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.187 Zeichen · 13 Bildschirme
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二十六日の朝九時ごろ、ガッチリと荷物を背負った一行は、例のトボガンをひっぱって、大町を立った。大和を入れた十二名に大町の案内者黒岩直吉ほか三人が加わり(この四人は畠山の小屋まで荷物を持って送って行ったのである)バラバラと降る雪の中を一列になって歩いて行った。見送る町の人々は彼らが一月十日ごろ、まっ黒になって帰って来る姿を想像しながらも、年越しの支度に心は落ち着かなかった。
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十一人を送り出した大町は、またもとの静けさに帰った。霏々として降る雪の下で、人々は忙しく立ち働いた。二十七、二十八、二十九、三十日の夜はことに忙しく、対山館の人々が床についたのは三十一日の二時を過ぎていた。家内ではねずみも鳴かず、屋根では雪もすべらぬ四時過ぎ、雪まみれになった二つのフィギュアが対山館の前までたどり着いたのを知っている人はだれもなかった。
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二人は叫んだ、二人は戸をたたいた。「百瀬さん、百瀬さん、起きて下さい」――何度叫んだことであろう、何度たたいたことであろう。夜明け前の、氷点下何度という風は、雪にまみれた二人を更に白くした。