Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どん・こん・ろく

鈍・根・録

宮本 百合子

Lesen Sie 鈍・根・録 (どん・こん・ろく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.159 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

と云った。父と、蝋燭の光が花と花との間に瞬いている祭壇の方を見やりながらわたしは、娘というより寧ろ総領息子のような風で、

「おかあさまがあとにおのこりになったら、万事に不満ばかりで、われわれも困ったし、自分もきっと不仕合わせに思いなったでしょうから、よかった」

そう答え、暫くして笑いながら、

「お父様、私が十一ぐらいのとき、団子坂の方へ散歩につれて行って下さったとき、道を歩きながら、お前のおっかさんにも困ったものだ。今更離縁すると云ってもお前たちがいるし、とおっしゃられて、ひどく困った気持になったことがあるんだけど、覚えていらしって?」

ときいた。

「へえ、そんなことがあったかね」

父も笑い出し、若やいだユーモラスな目つきで、

「ちっとも覚えていない」

と云った。そして、二言三言つづけて、妻としては全く世間ばなれのした妻であった母を軽く揶揄するようなことを云ったが、不図、自分が思わず耳にとめた咳ばらいをして、

「ああ、神官さんに葭江の略伝のようなものをやらなければならんが、お前一寸書いてやってくれないか。その中へこれまで何回も重病をわずらったが奇蹟的に生きたことを入れた方がいいと思うが――」