Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すずきもんど

鈴木主水

久生 十蘭

Lesen Sie 鈴木主水 (すずきもんど) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.827 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

享保十八年、九月十三日の朝、四谷塩町のはずれに小さな道場をもって、義世流の剣道を指南している鈴木伝内が、奥の小座敷で茶を飲みながら、築庭の秋草を見ているところへ、伜の主水が入ってきて、さり気ないようすで庭をながめだした。

「これからお上りか」とたずねると、「はっ、上ります」と愛想よくうなずいてみせた。

伝内は主水がかねてなにを考え、なにをしようとしているかおおよそのところは察していたが、いつにないとりつくろったような笑顔を見るなり、「いよいよ今日だな」と、そう感じた。今日、池の端の下邸で後の月見の宴があるが、主水は御前で思いきった乱暴をする決心でいる。心が通じあっているので、いまさら言置くこともなかったが、あまりみじめな終りにならぬよう、士道の吟味に関することだけは確かめておきたいと思った。たとえどのような無嗜無作法を働いても、主従の間でなすまじきことだけは、断じてせぬという戒懼のことである。

上杉征伐に功のあった三河の鈴木伝助の裔で、榊原に仕えて代々物頭列を勤めてきたが、伝内は神田お玉ヶ池の秋月刑部正直の高弟で義世流の達人であり、無辺無極流の槍もよく使うので、先代政祐のとき、番頭兼用人に進んで役料とも七百石を給わるようになった。