Japanische Klassiker mit Furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Lesen Sie 鈴木主水 (すずきもんど) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.827 Zeichen · 26 Bildschirme
お安がもうすこし気持の広い女だったら、あの夜のことを仔細に語って、そういう女の心はいったいどうしたものなのかと、訊ねることもできるだろう。さっきふとお安に呼びかけたのは、どうやらそのつもりだったらしいが、それは望んでも無駄なのである。
両脇に子供をひきつけ、依怙地なほど身体を硬ばらせている石のようなお安の後姿を、主水は歎息するような気持で見まもった。扶持を離れたといっても、明日の生計に困るわけではない。縫物の賃をあてにしなければならないほど逼迫していない。物を縫う女は一人置いてある。
いつもは居づらそうにしてすぐ立って行くお安が、たどたどしく糸目を辿りながら、つづきの座敷に朝から頑に居坐っている。あてつけがましくていい気持がしない。恨みつらみを無言のうちに思い知らせようとしているとしか思えない。お糸の方と手を括りあわされ、満座のなかで馬鹿舞を舞わされた沙汰のかぎりの痴加減を聞かされたら、腹を立てずにはいられまい。うらめしくも、儚くも、情けなくもあろう。無理はないとは思うが、そうならそうで、面と向って、怒るなり泣くなりすればいいのである。
主水がそんなことを考えていると、お安は子供達を奥へやっておいて主水のそばに来て坐った。