Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Lesen Sie 鈴木主水 (すずきもんど) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.827 Zeichen · 26 Bildschirme
た。主水の父の伝内は番頭兼用人から勘定役頭取に役替になったが、御納戸の役は勤めかねると辞退すると、それであらためて御暇になった。
播磨守政岑は、分家とはいえ門地の高い生れだけあって、顔に間の抜けたところがなく、容貌はむしろ立派なほうだが、ツルリとした粋好みの細面がいかにも芸人染みたふうにみえ、殿様らしい威容はどこにもなかった。甲高いよく透る声で早口にものをいい、かならず人先に発言し、真面目な話にも洒落や地口をまぜ、嘲弄するような言いかたをする。剣槍弓馬から仕方舞、豊後節、役者の真似事まで、なにによらず一と通りのところまでやるので、一廉の器量の持主のように買いかぶられるが、内実は我意の強い狭量な気質で、媚るものや諂うものは大好きだが、差図がましいことを言われるのは大嫌いで、時としては狂気したように激怒することがある。酔うととりとめなくなり、いつぞやなどは吉原の往来端で、人立ちをはばからずに矢の根五郎の振事の真似をしてみせ、大方の物笑いになったようなこともあった。
播磨守政岑というのはこういう困った殿様だったが、伝内も主水も感じたことはみな心の底にとりおさめ、親子二人だけのときでも、とやかくとあげつらうようなことは一度もなかった。