Japanische Klassiker mit Furigana
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てつばちとぎょらんと
鉄鉢と魚籃と
種田 山頭火
Lesen Sie 鉄鉢と魚籃と (てつばちとぎょらんと) von 種田 山頭火 (たねださんとうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.022 Zeichen · 3 Bildschirme
九月三日。
曇、さすがに厄日前後らしい天候。
朝は梅茶三杯ですます。身心を浄化するには何よりもこれがよろしい。
前栽の萩――それは一昨年黎々火君と共に裏山から移植したもの――が勢よく伸びて、びっしり蕾をつけている。早いのはぽつぽつ咲きだしている。萩は何となく好きな花だが、それは山萩にかぎる。葉にも花にも枝ぶりにも私たち日本人を惹きつけるものがある。
このごろの蚊のするどさ、そして蠅のはかなさ、いずれも死んでゆくもののすがたである。
午前は郵便を待ちつつ読書。
ハガキ三枚、黎々火君から、十返花君から、そして珍らしくも病秋兎死君から。雄郎和尚から絵葉書と詩歌八月号清臨句集黎明、これは若狭紙を大判のまま使って、なかなか凝ったものである。
午後は近在行乞、家から家へ歩きまわっているうちに、何だか左胸部が痛むようなので、二時間ばかりで切りあげた。それでも米八合あまり頂戴している。さっそく炊いて食べる。まことに「一鉢千家飯」、涙ぐましくなる。
今日の行乞相はよかったと思う。行乞の功徳はいろいろあるが、行乞していると、自分のことも他人のこともよく解る、我儘がいえなくなる。