Japanische Klassiker mit Furigana
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てつめんぴ
鉄面皮
Lesen Sie 鉄面皮 (てつめんぴ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.323 Zeichen · 22 Bildschirme
その一箇月間の日記を、私は小説として或る文芸雑誌に発表した。わがままな形式の作品だったので、編輯者に非常な迷惑をおかけした様子である。HUMAN LOSTという作品だ。すべて、いまは不吉な敵国の言葉になったが、パラダイス・ロストをもじって、まあ「人間失格」とでもいうような気持でそんな題をつけたのであって、その日記形式の小説の十一月一日のところに左のような文章がある。
実朝をわすれず。
伊豆の海の白く立ち立つ浪がしら。
塩の花ちる。
うごくすすき。
蜜柑畑。
くるしい時には、かならず実朝を思い出す様子であった。いのちあらば、あの実朝を書いてみたいと思っていた。私は生きのびて、ことし三十五になった。そろそろいい時分だ、なんて書くと甚だ気障な空漠たる美辞麗句みたいになってつまらないが、実朝を書きたいというのは、たしかに私の少年の頃からの念願であったようで、その日頃の願いが、いまどうやら叶いそうになって来たのだから、私もなかなか仕合せな男だ。天神様や観音様にお礼を申し上げたいところだが、あのお光の場合は、ぬかよろこびであったのだし、あんな事もあるのだから、やっと百五十一枚を書き上げたくらいで、気もいそいその馬鹿騒ぎは慎しまなければならぬ。