Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Lesen Sie 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.863 Zeichen · 73 Bildschirme
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「おいおいマリア、どうしたものだ。そう嫌うにもあたるまい。まんざらの男振りでもない意だ。いう事を聞きな、いう事を聞きな」
ユダはこう云って抱き介えようとした。
猶太第一美貌の娼婦、マグダラのマリアは鼻で笑った。
「ふん、なんだい、金もない癖に。持っておいでよ、銀三十枚……」
「え、なんだって? 三十枚だって? そんなにお前は高いのか」
「胸をご覧、妾の胸を」
マリアはグイと襟を開けた。盛り上った二顆の乳が見えた。ユダはくらくらと目が廻った。
「持っておいでよ、銀三十枚。……そのくらいの値打はあろうってものさ」
「マリア、忘れるなよ、その言葉を。……銀三十枚! よく解った」
ユダは部屋を飛び出した。引き違いにセカセカ入って来たのは、革商人のヤコブであった。
「さあさあマリア、銀三十枚だ。受け取ってくれ、お前の物だ。……その代わりお前は俺のものだ」
革財布をチャラチャラ揺すぶった。
「どれお見せ!」と引っ攫ったが、チラリと財布の底を見ると、
「ほんとにあるのね、銀三十枚。……じゃアいいわ、さあおいで」
寝室の戸をギーと開けた。
充分満足した革商人が、彼女の寝室から辷り出たのは、春の月が枝頭へ昇る頃であった。