Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Lesen Sie 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.863 Zeichen · 73 Bildschirme
よし来た詳しく話してやろう」
――私はバセドー氏病の患者であった。毎週一回病院へ通って、かなり強いレントゲンの、放射を受けなければならなかった。その往復に公園を通った。鶴舞公園はいい公園で、日比谷以上に調っていた。一つのロハ台へ腰を掛け、好きなラ・ラビアを喫かすのが、夏以来の習慣であった。
冬も冬、一月中旬、冷たい風が吹き迷っていたのに、この習慣は止められず、その日も私はロハ台に倚って、ラ・ラビアを喫かしていた。
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その時毛皮の外套を着た、四十五六の立派な紳士が、私の横へ腰を掛け、ゆるやかに葉巻を喫かし出した。
「あの大変失礼ですが、貴郎は美術家ではいらっしゃいませんか?」
紳士が卒然話しかけた。
「いえ」と私は素っ気なく云った。
私は私の趣味として、商売のことを訊かれるのと、年齢のことを訊かれるのとを、好まないばかりか嫌っていた。そうして私はそんなように、見知らない人から話しかけられるのを、これまた趣味として好まなかった。
紳士は外套の内衣兜から、ゆっくり名刺入れを取り出した。一揖すると名刺を出した。
「私、佐伯と申します。最近欧羅巴から帰りましたもので」