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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Lesen Sie 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.863 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして尚も私は云った。

「これは平凡な解釈だ。だが平凡でもいいではないか」

私は一種の法悦を感じた。

「容易に私は動揺されまい」

こんなようにさえ思うようになった。

そうしてそれは本当であった。

ある朝私は自分の部屋で、紅茶を淹れて飲んでいた。

私の前に新聞があった。一つの記事が眼を引いた。

「佐伯準一郎放免さる。理由は証拠不充分」

私は動揺されなかった。しかし、

「さぞ彼女は驚いたろうなあ」と、彼女を愍れむ心持は動いた。

で私は呟いた。

「彼女よ。うまく切り抜けてくれ」

決して皮肉でも何でもなかった。私は心から願ったのであった。彼女を憎む感情などは、いつの間にか私からなくなっていた。それとは反対に愍れみの情が、私の心に芽生えていた。

翌日私は散歩した。二月上旬の曇った日で、町には人出が少なかった。公園の方へ歩いて行った。公園にも人はいなかった。花壇にも花は咲いていなかった。ただ冬薔薇が二三輪、寒そうに花弁を顫わせていた。

私はロハ台に腰を下ろした。佐伯氏と逢ったロハ台であった。音楽堂が正面にあり、裸体の柱が灰色に見えた。

と、誰か私の横へ、こっそり腰かける気勢がした。