Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
――こういったのは駕籠舁きである。駕籠はゆらゆらと動き出した。
「こいつどうやら変梃だぞ。どうも少し気味が悪くなった」そこで「エヘン」と咳をした。
「おお、お眼覚めでござるかな。ハッハッハッハッ」と笑う声がする。儒者風の男の声である。馬鹿にしたような笑い方である。
「まだ先方へは着きませぬかな?」専斎は不安そうに声を掛けた。
「なかなかもって。まだまだでござる。ハッハッハッ」とまた笑う。
専斎は引き戸へ手を掛けた。戸を開けようとしたのである。
「専斎殿、戸は開きませぬ。外から錠が下ろしてござるに。ハッハッハッ」とまたも笑う。
専斎はゾッと寒気がした。
「こいつはたまらぬ。誘拐しだ」
彼はじたばたもがき出した。
そんなことにはお構いなく駕籠はズンズン進んで行く。そうして一つグルリと廻った。
「おや辻を曲がったな」
専斎は駕籠の中で呟いた。とまた駕籠はグルリと廻った。どうやら右へ曲がったらしい。
「さっきも右、今度も右、右へ右へと曲がって行くな」専斎はそこで考えた。「いったいどこへ連れて行く気かな? こんな爺を誘拐したところでたいしていい値にも売れまいにな。……精々のところで別荘番。