Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
部屋には老人一人しかいない。
「ここへ」と老人はまた云った。で専斎は膝で進む。
「外科の道具、ご持参かな?」その老人は静かに訊いた。
「はい一通りは持って参ってござる」
「それは好都合」と云ったかと思うと老人は金屏風をスーとあけたが渦高く夜具が敷いてある。そうして誰か寝ているらしい。しかし白布で蔽われているので姿を見ることは出来なかった。
「金創でござる。お手当てを」覆面の老人は囁いた。さも嗄れた声音である。
「へ――い」と思わず釣り込まれ専斎も嗄れた声を出したが、いわれるままに膝行し寝ている人の側へ寄った。ポンと白布を刎ねようとする。と、その手首を掴まれた。で、ギョッとして顔を上げたとたん頭巾の奥から老人の眼が冷たく鋭くキラリと光った。専斎はぞっと身顫いをする。その時老人は手を放しその手を腰へ持って行ったがスッと小刀を抜いたものである。
「あっ」と専斎は呼吸を呑んだが老人は見返りもしなかった。白い掛け布を一所スーと小刀で切ったものである。
「お手当てを」と引き声でいった。で、専斎は覗いて見た。裂かれた布の間から桃色の肉が見えていたが肉はピクピク動いている。神経の通っている証拠である。