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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

部屋の外れの襖を開けるとふっとその中へ消え込んだ。

一人になると専斎はまたゾクゾク恐ろしくなったが、度胸を定めて四辺の様子を盗み眼で見廻した。部屋の広さは百畳敷もあろうか古色蒼然といいたいが事実はそれと反対で、ほんの最近に造ったものらしく木の香のするほど真新しい。横手にこじんまりとした床の間があった。二幅の軸が掛かっている。

「はてな?」と呟いて専斎はその軸へじっと眼を注いだ。「や、これは六歌仙だ!」

それはいかにも六歌仙のうち、僧正遍昭と文屋とであった。

「同じ絵師の筆だわえ」

また専斎は呟いた。

それもいかにもその通り、そこに掛けてある二歌仙は、かつて専斎が持っていて小間使いのお菊に奪われた小野小町の一幅と、もう一つ現在持っている大友黒主の一幅と全く同じ作者によって描かれたものだということは一見すれば解るのであった。

「どれ寄って拝見しよう」

腰を上げようとした時である。正面の障子が音もなく開いた。「人が来たな」とひょいと見たが、障子の向こうに、縁側があり縁側の外れに雨戸がありその雨戸が細目に開いて庭園の一部が見えているばかり人らしいものの影もない。