Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
「態ア見やがれ!」
と貧乏神は床の間へ上ると手を延ばし六歌仙の軸をひっ握んだ。
その時襖がサラリと開いて以前の覆面の老人が部屋の中へはいって来たが、「曲者!」
と掛けた鋭い声は、武道で鍛えた人でなければ容易のことでは出せそうもない。
「ええ畜生、いめえましい!」身を飜すと貧乏神は庭へ向かって走り出した。
ヒューッと小束が飛んで来る。パッと渋団扇で叩き落す。次の瞬間には貧乏神の姿は部屋の中には見られなかった。
「方々出合え! 賊でござるぞ!」
忽ち入り乱れる足音が邸の四方から聞こえて来たが、庭の方へ崩れて行く。
障子を締め切った覆面の老人。
「驚かれたでござろうな」……打って代わって愛相よく、「寸志でござる。お納めくだされ」
紙包みを前へ差し置いた。
「もはや用事はござりませぬ。……駕籠でお送り致しましょう。……さて最後に申し上げたいは、今夜のことご他言ご無用。もし口外なされる時は御身のためよくござらぬ」
謝礼といって贈られたすっくり重い金包みを膝の上へ置きながら専斎はうとうと睡りかけた。
同じ駕籠に打ち乗せられ同じ人に附き添われ同じ夜道を同じ夜に自宅へ帰って行くところであった。