Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
私は一緒かと思ったに」
「さようさ、いつもは御酒徳利で、きっと連れ立って行くんですからね」
「へえ、家においでなさる?」
「今度は家におりますよ」
「それじゃ家の三津太郎だけがヒョコヒョコ出かけて行ったんですな」
三津五郎は眼を顰めた、そうしてじっと考え込んだ。
今話に出た三津太郎とは三津五郎にとっては実子にあたり、それも長男で二十一歳、陰惨な役所によく篏まり四谷怪談の伊右衛門など最も得意のものとしたいわゆるケレンにも達していて身の軽いことは驚くばかり、壁を伝い天井を走り三間の溝を猫のようにさも身軽に飛び越しさえした。しかし性質は穏しかった。
しかるにそれが一年前、忽然姿が見えなくなり二十日ばかりして帰って来ると俄然性質が一変した。
「俺を知らねえか、え、俺を。明神太郎の後胤だぞ!」
こんな事をいうようになり、穏しかった性質が荒々しくなり自堕落になり歌舞伎の芸は習わずに剣術だとか柔術だとかそんなものばかりに力を入れ、そうして時々理由なしに夜遅く家を抜け出したり十日も二十日も一月も行方知れずになることがあった。
そうして今度も一昨日から行方が不明になったのである。