Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
なだらかに通った高い鼻、軽くとざされた唇がやや受け口に見えるのが穏しやかにも艶やかである。水のように澄んだ切れ長の眼が濃い睫毛に蔽われた態は森に隠された湖水とも云えよう。年はおおかた十七、八、撫で肩に腰細く肉附き豊かではあるけれど姿のよいためか痩せて見える。
お米が座中に現われると同時に、そこに並んでいた女子供は一時に光を失った。ひどく見劣りがするのである。
「お米、機嫌が悪いそうな。盃ひとつ差してもくれぬの」
甚内は笑いながらこう云った。
「…………」お米は何んとも云わなかったが、その代わり静かに顔を上げ、幽かに微笑を頬に浮かべた。
「毎年初雪の降る日にはいつもお米さんはご機嫌が悪く浮かぬお顔をなされます」――お島というのが取りなし顔にこう横から口を出す。
「ふうむ、それは不思議だの。初雪に怨みでもあると見える」――無論何気なく云ったのではあったが、その甚内の言葉を聞くとお米は颯と顔色を変えた。
「あい、怨みがありますとも。――初雪に怨みがあるのでござんす」こう意気込んで云ったものである。
あまりその声が異様だったので一座の者は眼を見合わせた。一刹那座敷が森然となる。