Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
見たことのない美人であった。大奥の女でないことは、その女の風俗で知れた。町娘風の振り袖姿、髪は島田に取り上げていた。
女は先に立って歩いて行った。将軍家は後を追った。近習の一人がそれを見付け、すぐ後を追っかけた。御天主台と大奥との間、そこまで行くと二人の姿が――すなわち将軍家と女とが、掻き消すように消えてしまった、爾来消息がないのであった。
弓之助感慨に耽る
甲斐守はこう語った。
弓之助は奇異の思いがした。
「これは陰謀でございますな。狐狸の所業ではありませんな。怪しいのはその女で、何者かの傀儡ではございますまいか?」
「うん俺もそう思う。振り袖姿のその女は、銅銭会の会員だろう」
「申すまでもありません。しかし私は銅銭会より、銅銭会をあやつっているある大きな人物が……」
「これ」と甲斐守は手で抑えた。「お前、田沼殿を疑がっているね」
「勢いそうなるではございませんか」
「が、ここに不思議なことには、今度の事件では田沼殿は、心の底から周章てていられる」
「さては芝居がお上手と見える」
「いやおれの奉行眼から見ても、殿の周章て方は本物だ。そこがおれには腑に落ちないのだ。