Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
返辞をしねえ」
駕籠の中からは返辞がなかった。どうやら顫えてでもいるらしい。と、ようやく声がした。
「まあそれじゃああなた方は、悪いお方でござんしたか」
振り袖姿に島田髷
「さあね、大して善人じゃあねえ。だがこいつもご時世のためだ。こんな事でもしなかったら、酒も飲めず、魚も食えず、美婦も自由にゃあ出来ねえってものよ。恨むなら田沼様を恨むがいい」
「厭だと妾が首を振ったら?」「二人で手籠めにするばかりさ」「もしも妾が声を立てたら?」「猿轡をはめちまう。だがもし下手にジタバタすると、喉笛に手先がかかるかもしれねえ。そうなったらお陀仏だ」「それじゃあ妾は殺されるの?」「可哀そうだがその辺だ」「死んじゃあ随分つまらないわね」「あたりめえだあ、何をいやがる」
女の声はここで途絶えた。
「それじゃあ妾はどんなことをしても、遁がれることは出来ないんだね。仕方がないから自由になろうよ」
「へえ、そうかい、こいつあ偉い。ひどく判りのいい姐さんだ」
「だがねえ」と女の声がした。「見ればあなた方はお二人さん、妾の体はただ一つ、二人の亭主を持つなんて、いくら何んでも恥ずかしいよ。