Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
というところを、吉備彦は急いで手で抑えた。
「壁にも耳がござります。……何事も内密に内密に」
「別に変わった図柄でもないが?」
「他に註文がござります」
「うむ、さようか。云って見るがいい」
「お耳を」と云いながら膝行り寄った。
何か吉備彦は囁いた。
この吉備彦の囁きたるや前代未聞の奇怪事で、これがすなわちこの物語のいわゆる大切のタネなのである。
「これは変わった註文じゃの」
信輔も酷く驚いたらしい。
「それに致してもどういうところからそういう心になったのじゃな?」
「別に訳とてはござりませぬがただ私めはそう致した方が子孫のためかと存じまして」
「子孫のためだと? これはおかしい。そっくり財宝を譲った方がどんなにか子供達は喜ぶかしれぬ」
「仰せの通りにござります。恐らく子供達は喜びましょう。それがいけないのでござります」
「はてな? 麿には解らぬが」
「家財を受け継いだ子供達は、その家財を無駄に使い、世を害するに相違ござりませぬ。必ず他人にも怨まれましょう。破滅の基でござります。それに第一私一代でこの商法は止めに致したく考えおります次第でもあり」
「それではいよいよそうするか」